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携帯電話の受信メールを全削除する。
その殆どが彼女とのやりとりなので、毎回、切なくなる。 その中で1通だけ、削除されない保護メールがある。 2年前の3月、初めて彼女と待ち合わせをしたときのもの。 休日の午後、彼女は買い物を理由に外出して僕に逢いに来てくれた。 彼女が家を出るときにくれたメール。 「これから家を出ます。年甲斐もなくドキドキしています。 会社に行くときのように、きちんと化粧をしたり綺麗な格好をして 逢いに行く事ができないから、とても恥ずかしいです。」 そんな彼女が目の前に現れたとき、とても嬉しかったのを覚えている。 会社では眼鏡をかけて髪を後で束ねている彼女。 その日は普段よりも薄化粧で、髪をおろしていた。 Gパンにパーカーを着た普段着、それでも眼鏡はせずに、長時間着け ると目が腫るから、滅多につけないというコンタクトレンズをはめて くれていた。 普通の初デートなら、精一杯オシャレをして逢いに行けるのに。。 スキとか愛しているとか、その後、彼女は何度も書いてくれたけど このときのメールが今でも一番、彼女が愛しいと思えたメールです。 「飾らない涙さん、普段より素敵ですよ」 「お世辞でも嬉しいな」 「本当ですよ」 とても照れくさそうにしていた彼女。 ふたりの恋の幕開け。 |
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