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彼女は教えてくれた、何も変えられなくとも始められる恋があることを。
取り戻させてくれた、人を愛する心。 少しずつ満たされていく虚無。 そして性的な快楽。 何よりの贈物は、忙しく生きる彼女の貴重な自由時間。 その償いは、逢えない切なさ。 |
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「少しだけど逢えない?」
彼女からメールが届いたのは、午後4:00だった。 買い物してたら疲れたらしく、疲れたなと思ったら急に逢いたくなったのだと。 幸い妻は子供を連れて、友人達と遊びに出かけていたので、急いで車を走らせる。 待ち合わせの場所に彼女の車を見つけると、運転席のシートを倒して横になっていた。 二つ空けて車を停めて、彼女に電話する。 「お待たせ」 「あ、ごめん気が付かなかった」 「それより、大丈夫?」 「うん、急にごめんね」彼女に逢いたいと言われて、苦痛に思えたことは一度もない。 それを正直に伝えると、彼女は「うれしい」と言った。 「そっち行ってもいい?」 「うん、勿論」 僕の車の助手席に移動してきて、彼女は少しだけ微笑む。 学校の役員活動のストレスに生理が重なって、気分が落ち込んだらしい。 仕事と家事だけでも大変なんだもんね。 「少し横になって」 「うん」 助手席に横になり僕のほうに体を向ける姿勢になると、彼女は目を閉じたまま愚痴った。 普段なら笑い飛ばすような話なんだけど、いつもの笑顔もなく、まるで溜まった 疲れを吐き出すかのように話してくれた。 一通り話し終えると、同じ体勢のまま無口になる。 髪を耳にかけるように撫でながら、その寝顔を眺めていたんだけど あらためて思った、綺麗なヒトだな・・・ ずっとこうしていたいと。 30分くらい眺めていただろうか、静かに目を開けた彼女が言う。 「キスして」 周りに人気が無いことを確認してキスをする。 「そろそろ行かなくちゃ」 「そうだね、遅くなるといけない」 「元気でたか?」 「奏のお陰で楽になった」 そう言って見せた笑顔から、彼女が回復したのが良くわかってほっとした。 「逢いに来てくれてありがとう」 「こちらこそ」 覚えていて欲しい、僕の心はいつも貴女のそばにいることを。 |
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